外来だより

外来だより 2013年 9月号

2013年09月02日

暑さ寒さも彼岸までというように、この残暑もお彼岸を迎えるころには少し和らぎ、凌ぎやすくなっているのでしょうか?まだまだ暑い日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしですか?

7,8月は学生の皆さんは夏休み。この長期の休暇は、日頃気になっている症状について病院を受診し、検査や治療を受ける良い機会です。当院でも多くのお子さんが視力や色覚検査を希望して来院されました。以前は小学校の健康診断で視力、色覚ともに義務化されていたましたが、現在色覚検査は廃止され、任意での検査となっています。色覚異常を取り巻く環境は日々変わってきています。しかしまだまだ誤解も多く存在しています。今回は皆さんに色覚異常について正しく理解して頂けるよう、お話ししたいと思います。
 皆さん色覚異常がどのような状態かご存じですか?色が全く認識できずに世の中が白黒に見えるとお思いの方も多いかもしれません。色覚異常の種類や程度によって異なりますが、それぞれに応じた色世界を有し、感受しています。
例えば、最も多いとされる先天赤緑異常の場合、黒板の赤チョークの字が見えにくい(赤,緑)木の幹と葉を区別して描けない(緑,茶)カレンダーの平日祝日の区別ができない(赤,黒)グレーと思って着ていたセーターがピンク色だった(ピンク,灰色)など組み合わせによって見分けにくい色が存在している状態です。視力は一般に正常であり、普通自動車第一種免許の取得は可能です。進学や就職の制限は存在するものの、以前に比べかなり緩和されてきています。
 現在有効な治療法はありませんが、本人がどのような色が判別しにくいかを自覚し、対策を講じることで、ほとんどの場合生活上は支障がないと言われています。

日本人における色覚異常の出現頻度は男性の約5%(1/20人)、女性の約0.2%(1/500人)で男性に多く、1クラスに1人の割合で存在します。色覚はあくまで主観的なものです。本人が異常に気づくというより、絵を描く様子などを見ていた身近な人が、色遣い、色の塗り間違いや言い間違い、色を頻繁に尋ねるといった行動から発見につながることが多いようです。普段気になる様子がみられる場合は、一度眼科を受診し、検査を受けてみるのもよいでしょう。
 検査の結果、色覚異常と診断されても、周囲が神経質になりすぎないことが大切です。色覚異常は多少の不都合を生じることがあっても、他の能力に何ら問題はありません。色誤認があっても、個々の見方や感じ方を大切にし、何気なく対象物の色名を教えることで、次第に自分で判別のつきにくい色の組み合わせや、誤認する状況を自覚し、対処法を見つけていくことができるようになるのです。また社会全体で色覚異常を正しく理解し、色覚異常に配慮した環境作りをしていくことも大切です。

NM