外来だより

外来だより 2022年 9月号

2022年09月01日

 

 まだ暑さが残る中、猛暑疲れやコロナ禍での自粛生活のストレスから、睡眠不足を感じていませんか。今月は睡眠についてのお話しです。

 今年の最新の研究で発表された健康の維持増進に役立つ睡眠の質を測る指標、それが睡眠休養感といいどれだけ眠れたかではなく、どれだけ休まったかが重要であり、朝目覚めた時に感じる休まった感覚の事を示すものです。睡眠休養感が低いと死亡リスクが高まりますが、ただ長時間眠ればいいというわけではなく、世代によって健康に良い睡眠時間には違いがあります。働き盛りは睡眠時間をしっかり確保した方がいいのに対し、高齢者はやみくもに睡眠時間を長くとるのではなく、睡眠の質が高まるような工夫が必要であり、床上時間(実際に寝ている時間・寝床に入ってから寝付くまで・睡眠中の自覚のない覚醒を含めた寝床で過ごす全体的な時間の事)が長ければ長いほど、そこに睡眠休養感がないという条件が重なると死亡リスクを上げてしまいます。年を重ねるにつれ必要な睡眠時間は減っていき、60歳を過ぎると6時間で十分とされています。それでは睡眠の質を上げる3つのスイッチを紹介します。

 まずはじめに、就寝前にゆったりとした時間を過ごしましょう。読書(寝床内ではだめですよ)、アロマをたく・穏やかな音楽を聴く・入眠前の入浴(ぬるめで)など。これらは血圧・脈拍数を下げ、呼吸を穏やかにし眠りに入りやすくなります。ブルーライトは交感神経を刺激し体内時計を乱すので就寝前に液晶画面を見るのは止めましょう。

 つぎに体内時計をオンにします。起床後日光を浴びることは、14~16時間後に睡眠の準備が整い眠気が出てくるタイミングをつくります。散歩・ウオーキングなどは眠りの安定につながります。休日と平日の起床時間の差は体内時計を乱すので、差は2時間以内にし、休日に睡眠時間を増やしたい場合は一度起床し日光を浴びその後、30分以内の昼寝をします。長いと夜の睡眠時間を乱します。

 最後に眠れない事への焦りをなくすことです。8時間以上眠らなければならない、眠らなければ日中うまく動けないのではないか、毎晩ぐっすり眠る必要がある。などの強いこだわりや思い込みは、不安にとらわれがちになり、余計眠れなくなります。大切なのは、日中充実した時間を過ごすという事、その為には夜を楽しく過ごし眠りにとらわれすぎないことが重要です。

 以上、良質な睡眠をとる3つあげてみました。良質な睡眠をとり、コロナ禍でストレスの多い夏の夜を、健康なカラダで乗り切りましょう。